用語辞典 — ツギノテ。SCIENCEGLOSSARY

脱技能化

脱技能化(deskilling)とは、自動化された支援に頼るうちに、支援なしで作業したときの熟練度が下がること。

もとは労働研究の用語で、工程の機械化が職人の腕を要らなくする過程を指しました。近年は意味の重心が移り、AI支援を受ける医療者や学習者の「素の技能」が測られる文脈で使われます。

測り方に条件がある

この現象は、支援を外した状態で測らないと見えません。支援つきの成績はふつう上がるので、そこだけ見れば何も起きていないように見えます。教育研究で「AIを取り上げたあとの試験」が重視されるのはこのためで、練習中の成績と撤去後の成績が逆方向に動く例が報告されています。

経路は「練習の消失」

主な経路は認知オフロードだと考えられています。技能は練習で獲得され、練習で維持される。支援が練習そのものを肩代わりすると、獲得も維持も進みません。逆に、答えを出さずヒントだけを返す設計では低下が観察されなかった、という報告もあります。つまり支援の有無ではなく、支援の設計が使い手に残す作業量が効いている可能性があります。

読み手の注意:脱技能化を扱う研究には、導入前後を比べただけの観察研究が多く含まれる。同時期に起きた別の変化と切り分けられないため、無作為化比較試験での確認を待つ必要がある。