用語辞典 — ツギノテ。SCIENCEGLOSSARY

平均への回帰

平均への回帰(regression to the mean)とは、極端な測定値の裏にある真の値は、測定値より平均寄りである可能性が高いという性質。

よく知られた説明は「極端な値が出たあとの測定は、平均に近い値になりやすい」というものです。成績が突出して良かった回の次は下がりやすい、症状がいちばん重い日に受診すると翌週は軽くなりやすい。ここに介入を挟むと、効果がなくても効いたように見えます。

本質は「真の値と測定値の関係」にある

くり返し測ったときの話に見えますが、より根っこは一回の測定にもあります。測定にランダム誤差が乗っているとき、極端な値が観測される場面では「もともと極端だった」より「そこそこの値が誤差で振れた」ほうが起こりやすい。母集団の真ん中に個体数が多いぶん、後者の候補が多いからです。したがって、極端な測定値ほど対応する真の値は内側にいると期待されます。確率分布が左右対称でない場合は「より起こりやすい値への回帰」と呼ぶほうが正確です。

関係式をゆがめる回帰バイアス

二つの量の関係を回帰分析で求めるとき、目的変数側の誤差は平均で薄まりますが、説明変数側の誤差は関係式そのものにずれ(回帰バイアス)を残します。誤差の大きさが値によって変わる(不均一分散)場合、このずれは非線形になり、分布の端で線が寝ていく——つまり「頭打ち」に見える形を作ることがあります。誤差を定量化して差し引く回帰較正などの手当てが要ります。

読み手の対策:グラフの端で傾きが変わっていたら、まず横軸(説明変数)の測り方と不確かさを確認する。極端な値を扱う解析ほど、この効果は強く出る。