用語辞典 — ツギノテ。SCIENCEGLOSSARY

クラスリン被覆小胞

クラスリン被覆小胞(clathrin-coated vesicle)とは、クラスリンというタンパク質のかごに外側を覆われた、輸送用の小さな膜の袋。運ぶ荷物を選んで濃縮し、膜からちぎり取って別の場所へ届ける。

クラスリンは、三本脚の形をした単位(トリスケリオン)が組み合わさって、サッカーボールのような多面体のかごを作ります。このかごが膜の一部を外から包み込むと、膜はしだいに内側へくぼみ、最後にちぎれて袋になります。細胞が外の物質を取り込むとき、またゴルジ体から荷物を送り出すときに使われる、代表的な輸送の仕組みです。

選ぶのはアダプター

クラスリン自身は、どの荷物を運ぶかを直接には決めません。膜のタンパク質とクラスリンの間をつなぐアダプタータンパク質が、荷物側の目印を読んで積み込みを担当します。細胞膜での取り込みではAP-2、ゴルジ体から先の経路ではAP-1などが働くとされ、経路ごとに担当が分かれています。

包むことと、ちぎることは別

被覆は荷物を集めるだけでなく、膜をちぎり離す段階にも関わります。2026年に報告された研究では、AP-1を欠損させた細胞でゴルジ体から新生するリサイクリングエンドソームの形成自体は起こる一方、ゴルジ体から切り離されず細長いチューブ状に伸び続けたとされ、AP-1が分離の段取りを担う可能性が示されました(Nature Communications、2026年7月27日公開・査読済み)。作る工程と切り離す工程は、別々に止められるということです。

補足:小胞をちぎる最後の一押しには、ダイナミンなど別のタンパク質群も関与するとされる。経路や細胞種によって必要な部品の組み合わせは異なる。