用語辞典 — ツギノテ。SCIENCEGLOSSARY

共通菌根ネットワーク

共通菌根ネットワーク(common mycorrhizal network, CMN)とは、一つの菌根菌の菌糸が複数の植物の根に同時に取りつくことで生じる、地下の連絡路。

菌根は、菌類と植物の根がつくる共生の仕組みです。植物が光合成でつくった糖や脂質を渡し、菌が菌糸で集めたリン・窒素・水を返す関係で、現生の陸上植物の約85%が持つと見積もられています。この菌糸が2本以上の植物にまたがって取りつくと、理屈のうえでは植物どうしをつなぐ通路ができます。それがCMNです。俗に「森のインターネット」「ウッド・ワイド・ウェブ」とも呼ばれます。

どう測るか

効果の測り方は、菌糸をつないだままの区画と、仕切りや回転で連絡を断った区画を用意し、その差を見るのが基本です。差が出れば「ネットワークの効果」と解釈されます。ただし切断の操作は根や土の構造もいくらか乱すため、差の原因を菌糸だけに帰せない場合があります。

注意

「つながっている」「資源が移動する」「送り手が受け手を選んでいる」は、それぞれ別の主張で、支持される度合いも違います。2023年のNature Ecology & Evolutionの論説は、森で広くつながっているという主張と稚樹の育ちが良くなるという主張は野外研究のばらつきが大きく一般化を支えないとし、成木が自分の子を選んで資源や防御信号を送るという主張には査読済みの証拠が見つからなかったと報告しました。31本を統合した2025年のFunctional Ecologyのメタアナリシスも、効果は小さく中立か一貫しないと報告しています。一方、炭素移動そのものは証拠が積み上がっているという反論もあり、議論は継続中です。

補足:効果が「小さい」ことと「無い」ことは別。検出力が足りずに見つからない可能性が残るため、証拠の不十分さを不存在の証明として読まないこと。