用語辞典 — ツギノテ。SCIENCEGLOSSARY

偽発見率

偽発見率(false discovery rate、FDR)とは、「有意」と判定したもののうち、実際には効果がないものが混じっている割合の見込み。

ひとつの検定だけを見るなら、偶然で「有意」が出る確率はふつう5%に抑えられます。ところが、曝露と結果の組み合わせを何十通りも同時に調べると、偶然の当たりは組み合わせの数だけ増えていきます。20回試せば1回は5%を切る、という単純な算数です。偽発見率は、この事情に合わせて「当たりの中の偽物の割合」を管理する考え方で、ベンジャミニ・ホッホバーグ法などの手続きで実際の判定に使われます。

「0.05」ではなく「0.2」と書いてあるとき

抑える水準は研究者が選びます。0.05なら、有意とされたもののうち偽物は20件に1件までという想定。0.2なら5件に1件までを許すことになります。探索的な解析で、候補を取りこぼさないほうを優先する場面では、あえて緩い水準が選ばれることがあります。したがって「補正後も有意だった」という一文の強さは、どの水準で引いたかを見るまで決まりません。論文の統計解析の節に、たいてい一言で書かれています。

抑えるものが違う

ボンフェローニ補正のような古典的な方法は、偽物を1つも通さないことを目指して基準をきつくします。そのぶん、本当にある小さな効果を見落としやすくなります。偽発見率は逆に、ある程度の偽物を織り込んだうえで発見の取りこぼしを減らす立場です。どちらが正しいというより、次に何をするか——確認実験に進むのか、これで結論にするのか——で選ぶものが変わります。

補足:偽発見率は「この1件が本物である確率」を教えてくれるものではない。あくまで、有意と判定した集まり全体に対する見込みの割合である点に注意したい。