ファラデー効率。
ファラデー効率(faradaic efficiency)とは、電気化学反応で流れた電流の総量のうち、目的の生成物をつくるのに実際に使われた割合。電流の「行き先」を測る指標で、どれだけ電流を流せたかを示す電流密度とは別の量です。
電極に電流を流すと、電子が反応に配られます。ところがその電子は、必ずしも狙った生成物だけに向かうわけではありません。水溶液中では水素の発生が競合しますし、二酸化炭素の還元では一酸化炭素・ギ酸・エチレンなど、複数の行き先が同時に開いています。流れた電子のうち何割が目当ての物質に届いたかを百分率で表したものが、ファラデー効率です。
電流密度とは何が違うか
電流密度(mA/cm² などで表す)は、電極の単位面積あたりにどれだけ電流を流せたかを示します。これは反応の「量」の指標です。対してファラデー効率は「行き先」の指標なので、両方を見ないと性能は分かりません。電流をたくさん流せても行き先がばらけていれば混合物になりますし、行き先が揃っていても電流が小さければ生産量は伸びません。
最大値と持続値を混ぜない
触媒の性能は、電流密度・電位・電解液・原料ガスの供給条件で動きます。そのため論文では、最大のファラデー効率と、耐久試験で維持された効率を別々に報告するのが通例です。耐久試験は電流密度を抑えた運転点で行われることが多く、そのぶん効率の数字も変わります。最大値どうしを組み合わせて一つの性能として読まないこと、が読み手側の作法になります。
なぜ選択率が費用に効くのか
生成物が混ざって出てくると、後段で分離精製の工程が要ります。設備もエネルギーも、そこで追加でかかります。ファラデー効率を上げるという話は、変換の効率だけでなく、この後工程を軽くする話でもあります。