用語辞典 — ツギノテ。SCIENCEGLOSSARY

エクソーム解析

エクソーム解析(exome sequencing)とは、ゲノム全体ではなく、タンパク質の設計図になる領域(エクソン)だけを選んで読む方法。

ヒトのゲノムのうち、タンパク質のアミノ酸配列を直接指定している部分は1〜2%ほどしかありません。その部分をまとめて「エクソーム」と呼びます。読む範囲を絞れば、同じ費用と時間でずっと多くの人を読めます。数十万人・百万人規模のコホート研究でこの方法が選ばれるのは、この一点が効くからです。

まれな変異を数えるのに向いている

ひとつひとつが非常にまれな変異は、一人ずつ見ても統計になりません。そこで同じ遺伝子の中にある「機能を損なうと考えられる変異」をまとめて一群として数えるやり方(遺伝子単位のまとめ検定、gene burden test)が使われます。アミノ酸配列を変える変異はエクソンに集まっているため、エクソームだけでもこの検定は成り立ちます。承認薬や臨床段階の薬の標的が、こうした解析で見つかった遺伝子と重なることも珍しくありません。

読めていない場所がある

裏返しの制約もはっきりしています。遺伝子の働く量を調節する領域(プロモーターやエンハンサー)、イントロンの奥、繰り返し配列の多い領域は対象外です。構造の大きな変化も捉えにくい。エクソーム解析で何も出なかったことは、その形質に遺伝的な背景が無いことを意味しません。また、読める人数が増えても、超まれな変異の保有者数そのものは小さいままなので、「保有者が病気になったかどうか」を数える推定は幅が広くなりがちです。

読み手の対策:規模の大きさ(何人読んだか)と、着目した変異の頻度(保有者が何人いたか)を分けて確認する。前者が100万人でも、後者が数十〜数百人なら、そこから出た発症率の推定は動く余地が大きい。