食物網。
食物網(food web)とは、生態系のなかで「何が何を食べるか」の関係を、網の目のように結んだつながりのこと。植物・草食動物・肉食動物・分解者などが、幾重にも絡み合っている。
よく聞く「食物連鎖」は、草→バッタ→カエル→ヘビのように、食べる・食べられるの関係を一本の線でたどった見方です。けれど実際の自然では、一つの生きものが複数のものを食べ、複数のものに食べられます。その線をぜんぶ重ねると、直線ではなく網の目になる——これが食物網です。
一点の揺れが、遠くへ届く
網の目でつながっているため、どこか一か所で数が急に増えたり減ったりすると、その影響が離れた生きものにまで波及することがあります。たとえば、ある捕食者が急に別のエサに夢中になると、それまで食べられて抑えられていた生きものが増え、さらにその生きものが食べる植物の被害が変わる、という具合です。こうした「食べる相手の乗り換え」がきっかけで連鎖的に効果が伝わる現象は、生態学で広く観察されてきました。
読むときの注意
食物網はあくまで関係の見取り図で、実際にどの経路がどれだけ強く効くかは、季節・場所・年によって変わります。ある場所で観察された波及が、別の生態系でもそのまま起きるとはかぎりません。「つながっている」ことと「どれだけ強くつながっているか」は、分けて確かめる必要があります。
補足:食物網の一部で起きた変化が連鎖的に他へ及ぶ現象は「栄養カスケード(trophic cascade)」とも呼ばれる。効果の強さは条件しだいで変わる。