用語辞典 — ツギノテ。SCIENCEGLOSSARY

パターン認識受容体

パターン認識受容体(pattern recognition receptor, PRR)とは、病原体が共通して持つ分子の「かたち」を見分けて免疫応答を起こすセンサータンパク質。

免疫には大きく二つの流儀があります。ひとつは、過去に出会った相手を個別に記憶して次に備える方式。もうひとつが、相手を覚えるのではなく、病原体であるために持たざるを得ない分子の特徴を検知する方式です。後者を担うのがパターン認識受容体で、自然免疫の中核に位置づけられています。

なぜ「かたち」を見るのか

ウイルスや細菌は変異で姿を変えますが、細胞壁の成分、鞭毛のタンパク質、二本鎖RNAといった構成要素は、その生物であるための土台にあたるため簡単には捨てられません。受容体がこうした保存された特徴を狙えば、個々の株を知らなくても侵入を検知できます。記憶を必要としないぶん応答も速く、感染の初期段階で働きます。

細胞の外と内、そして細菌にも

細胞膜の表面で外来分子を捉えるToll様受容体(TLR)のほか、細胞の内側で異物を監視するNOD様受容体(NLR)が知られています。NLRはSTAND NTPaseという大きな超科に属し、植物の免疫受容体とも共通の祖先を持つと整理されてきました。近年は、細菌や古細菌にも同じ超科のセンサーが多数あり、バクテリオファージのタンパク質を検知していると報告されています。「かたちを見る免疫」は、動物や植物に固有の発明ではないという見方が強まっています。

補足:認識される側の特徴は「病原体関連分子パターン(PAMP)」と呼ばれる。損傷した自己の細胞に由来する分子(DAMP)を検知する受容体もあり、両者の区別は明確に線が引けない場合がある。