再現期間。
再現期間(return period)とは、ある規模以上の洪水や豪雨が平均して何年に1回起こるかを表す指標。
「100年に1回の洪水」という表現は、100年間は安全という意味ではありません。統計的には「どの年にも1%の確率で起こりうる規模」を指します。この読み替えを外すと、去年起きたからしばらく来ない、という誤解につながります。実際に同じ規模の洪水が数年のうちに2回起きても、それ自体は再現期間の推定と矛盾しません。
推定の中身は場合によって大きく違う
観測記録が十分に長い河川では、実測の年最大流量を確率分布に当てはめて再現期間を推定します。一方で記録が数十年しかない場所や、観測機器が存在しなかった時代を扱う場合は、洪水標・堆積物・古文書といった間接的な証拠から水位を復元し、専門家の判断で幅を付けた推定になります。同じ「1,000年」という数字でも、根拠の性質が違うことがあります。歴史洪水を扱った研究では、この点が限界としてしばしば明記されます。
連続して起こる場合は別の話になる
再現期間はひとつの事象の希少さを表す指標で、事象が続けて起こることを扱いません。極端な洪水が数か月のうちに同じ地域を重ねて襲う可能性は、確率の桁とは別の問題として検討する必要があります。実際に、そうした連続がリスク管理でほとんど考慮されていないという指摘が報告されています。
読み手の注意:数字が同じでも、根拠が実測の流量なのか歴史資料からの推定なのかで確からしさは変わる。論文では「専門家による主観的推定」と明記される場合がある。