超放射。
超放射(スーパーラディアンス)とは、十分な速さで回転する物体に、適切な性質を持つ波が当たると、波が物体からエネルギーを受け取って増幅され、跳ね返ってくる現象。
もとは物理学者ロジャー・ペンローズが1969年に示した思考実験、いわゆる「ペンローズ過程」に由来します。回転するブラックホールの周りには、時空が引きずられて回る「エルゴ球」という領域があり、そこに入った粒子が二つに分裂すると、片方が元より多いエネルギーを持って飛び出せる、という考え方です。物理学者ヤコフ・ゼルドヴィッチは、この仕組みを粒子だけでなく波にも広げ、回転する物体に反射した波が増幅されうると予測しました。
ブラックホールだけの話ではない
超放射は、実は本物のブラックホールに限った現象ではありません。回転や、それに似た性質を持つ系であれば、原理としては同じ増幅が起こりうるとされています。2026年には、実際には一切回転しない電波装置に「合成回転」と呼べる仕組みを作り、電磁波の超放射を実験で再現したという報告もありました。
読むときに気をつけたいこと
超放射という言葉が出てきても、それがそのまま「本物の重力現象を確かめた」ことを意味するとは限りません。装置や媒質を使った実験では、確かめられているのは多くの場合、波の増幅という物理そのものであり、実際の重力やブラックホールの性質を直接検証したわけではない、という区別が必要です。