用語辞典 — ツギノテ。SCIENCEGLOSSARY

タウシーディング

タウシーディング(tau seeding)とは、異常な構造になったタウタンパク質が「種」となり、周囲の正常なタウを取り込みながら凝集を連鎖的に広げていく現象。

正常なタウは神経細胞の中で微小管を支える働きをしていますが、タウオパチーではその形が崩れ、異常な構造をとります。この異常なタウが鋳型のように働き、周囲の正常なタウを引き寄せて次々と同じ異常な形に変え、塊(凝集)を大きく育てていく——これがタウシーディングです。一つの凝集が周囲へ影響を広げる仕組みとして、タウ病理が脳内で伝播していく過程の一因とされています。

研究での使われ方

タウシーディングの強さは、タウオパチーの進行度合いを測る目安の一つとして研究に使われます。2026年に報告されたマウス実験では、SORLAというタンパク質を多く持つ個体でタウシーディングの働きが弱まっていたことが確認されました。凝集の「量」だけでなく、「広がりやすさ」を抑えられるかどうかも、今後の研究で注目される点です。

限界

タウシーディングの詳しい仕組みや、それを止める方法の効果は、多くが培養細胞やマウスなど動物モデルでの検証にとどまります。ヒトの脳での広がり方や、それを安全に抑えられるかは、引き続き検証が必要です。

補足:シーディング(seeding)は「種まき」を意味する語で、異常なタンパク質が凝集の起点(種)になる現象全般を指す言葉として、プリオン様の広がり方をするタンパク質の研究で使われる。