捕獲岩。
捕獲岩(ゼノリス/xenolith)とは、上昇するマグマが通り道の岩体から削り取って地表まで運び上げた、由来の異なる岩石の破片。
語源はギリシャ語で「よそ者の石」を意味します。マグマが固まってできた岩石の中に、明らかに成り立ちの違う塊が閉じ込められている状態を指し、地殻から取り込まれたものを地殻捕獲岩、より深いマントルから運ばれたものをマントル捕獲岩と呼び分けます。
掘れない深さの試料が、手に入る
人間が掘り抜ける深さには限りがあります。捕獲岩の価値はここにあります。噴火が地下深部の岩石を無料で地表まで運んできてくれるため、直接到達できない場所の組成・温度・圧力の記録を手に取って調べられます。マントルの性質に関する知見の多くは、この持ち上げられた破片から得られてきました。
噴火の時刻を測る道具にもなる
捕獲岩は年代測定にも使えます。ただし読み取るのは「石が生まれた時刻」ではありません。捕獲岩は上昇するマグマに包まれて加熱され、それまでに溜まっていたヘリウムなどを失います。噴火で地表へ放り出されて急冷した瞬間から、放射性崩壊で生じるヘリウムがふたたび結晶内に溜まりはじめます。この量を測る (U-Th)/He 法では、得られる年代が噴火で急冷した時刻になります。マールのように噴出物側に年代測定用の鉱物を含まない火山では、この迂回路が数少ない手段になります。
読み手の注意:捕獲岩から出た年代は、必ず「何の時刻か」を確認する。結晶の形成年代と、加熱・急冷の時刻は別のもの。