見かけの量子効率。
見かけの量子効率(apparent quantum efficiency、AQE)とは、光触媒に当てた特定波長の光子の数を分母に置き、反応に使われた電子の数を分子に置いた割合。材料が実際には吸収しなかった光子も分母に数えるため、「見かけの」と付きます。
光でものを変える反応の効率は、光をエネルギーで数えるか、光子の個数で数えるかで、まったく別の数字になります。量子効率は後者です。装置に入れた光子1個あたり、狙った反応がどれだけ進んだかを見ます。
「見かけの」が付く理由
当てた光子のうち、材料に届く前に散乱するもの、素通りするもの、吸われずに反射するものがあります。それらを差し引いて「吸われた光子」だけを分母にすれば内部量子効率になりますが、粒子を水に分散させた系では吸収量を正確に切り分けるのが難しい。そこで、入射した光子をそのまま分母にした保守的な値を報告します。定義上、見かけの量子効率は内部量子効率より小さくなります。
太陽光水素変換効率とは別の量
太陽光水素変換効率(STH)は、降り注いだ太陽光のエネルギーのうち、何割が水素の化学エネルギーとして取り出せたかを示します。分母がエネルギーで、しかも太陽光の全波長です。ある1波長で見かけの量子効率が80%を超えていても、その材料がそれより長い波長の光を吸えなければ、STHは小さいままになります。片方の数字だけを持ち出して「効率◯%」と語らないこと、が読み手側の作法になります。
数字に付いてくる条件
報告値には、測定に使った波長、光源の線幅、光子の数え方(物理放射計測か化学光量計か)、触媒量と照射面積、反応時間が付いてきます。水の全分解では、発生した水素と酸素の比が2対1に近いかどうかも一緒に見ます。犠牲試薬を加えて半分の反応だけを回した場合、この比は崩れます。
関連記事:光を当てるだけで水から水素をつくる粉があります。同じ粉で効率が53.4%と82.1%に分かれた理由は、外側に貼った膜の位置でした。