気候フィードバック。
気候フィードバック(climate feedback)とは、気温の変化が引き起こした現象が、さらに気温の変化を強めたり弱めたりする仕組み。
原因が結果を生み、その結果が原因側に戻ってくる循環です。強める向きに働くものを正(自己強化的)のフィードバック、弱める向きに働くものを負のフィードバックと呼びます。気候の将来予測が難しい理由の多くは、この戻りの経路がいくつも重なっているところにあります。
代表的な例
気温が上がって海面付近の水蒸気が増えると、水蒸気自体が温室効果を持つのでさらに気温が上がる(水蒸気フィードバック)。雪や氷が融けると、白い面が減って地表が太陽光を吸収しやすくなり、昇温が進む(アルベドフィードバック)。土壌が温まって微生物の分解が活発になれば、土から出るCO2が増えて大気側の濃度を押し上げる(土壌有機物由来の炭素フィードバック)。いずれも人の排出とは別に、系のなかで自動的に進む経路です。
読むときの注意
フィードバックは「効く/効かない」の二択ではなく、大きさと時間のかかり方が問題になります。数年で現れるものと、数十年かけて姿を見せるものがあり、途中で一時的に止まったように見える場合もあります。だから短い観測期間から「働いていない」と結論するのは早すぎることが多い。長期の観測や実験が重視されるのは、この時間差があるためです。
補足:暴走を示す「ティッピングポイント(臨界点)」という語と混同されやすいが、フィードバックそのものは強弱を持つ連続的な仕組み。臨界点の議論は、その強さが一定を超えた場合の話として区別したい。