土壌有機物。
土壌有機物(soil organic matter)とは、土の中にある、生物由来の炭素を含む物質の総称。落ち葉や根、微生物の遺骸とその分解物からなる。
土をひとつまみ手に取ったときの黒っぽい色や、しっとりした感触のもとです。植物が光合成でつくった炭素が、落ち葉や根、そしてそれを食べた微生物の体を経て土に渡り、分解されながら形を変えて留まっています。栄養分の貯金であり、水を抱える力の源でもあり、同時に地球規模の炭素の置き場所でもあります。
「分解されやすい分」と「残る分」
研究では長く、土壌有機物を性格の違ういくつかのまとまりに分けて考えてきました。微生物がすぐに食べてしまう成分と、鉱物の表面にくっついたり分子として頑丈だったりして何十年・何百年と居座る成分です。後者は「持続的(persistent)」な画分と呼ばれ、温度が上がっても簡単には動かないと想定されてきました。近年は、この分け方が絶対的な性質ではなく、環境条件や観測する時間の長さによって揺らぐという見方が強まっています。
どうやって中身を見るのか
全体量は炭素の含有率として測れますが、「何が」残り「何が」失われたのかは総量だけでは分かりません。そこで使われるのが分子レベルの目印(バイオマーカー)です。葉のワックスに由来するn-アルカン、木質のリグニン由来の成分、微生物の細胞壁に由来する糖など、由来のはっきりした分子を測ることで、組成の変化を追えます。ただし目印の量が減ったことは、土壌全体の炭素の貯蔵量が何%減ったかという値とは別のものなので、区別して読む必要があります。
補足:土壌が抱える炭素の量は、大気中の炭素より多いと見積もられている。だから土壌有機物の分解が少し進むだけでも、大気側のCO2にはまとまった量として現れうる。