用語辞典 — ツギノテ。SCIENCEGLOSSARY

脱保護

脱保護(deprotection)とは、DNAを一塩基ずつ合成する際、各塩基に付けた「仮のフタ(保護基)」を、次の塩基を足す前に外す工程。

DNA合成は一塩基ずつ鎖を伸ばしていく作業です。もし何も工夫しなければ、足した塩基にさらに次々と塩基が付いてしまい、狙った配列になりません。そこで、新しく足す塩基にはあらかじめ「これ以上伸びないためのフタ(保護基)」が付けてあります。次の一塩基を足せる状態にするには、このフタを外す必要があります。これが脱保護です。

仕組み

水を反応の場とする酵素的DNA合成では、脱保護は「酸性にする(pHを下げる)」ことで引き金を引けます。並行して多数の配列を作る場合は、その回に塩基を足したい場所だけを狙って酸性にする、という精密な制御が要ります。2026年に報告された半導体チップは、電極で局所的にpHを下げ、周囲へにじまないよう封じ込めることでこれに挑みました。

限界

その研究では、合成サイトを密に並べようとすると脱保護がうまく働かない、という壁に突き当たりました。低いpHは保護基を直接外すのではなく、外す働きをする「中間の分子」をまず生み出します。この中間分子が隣のサイトへ漂い、作り分けの境界をぼかしてしまうのです。電子技術ではなく脱保護の化学こそが次の課題だと示された点は、この分野の現在地をよく表しています。

補足:脱保護は「足す」と並ぶ合成の要。局所的に・素早く・にじませずに外せる化学が、並列合成の density(密度)を左右する。