オッズ比。
オッズ比(odds ratio)とは、二つの群それぞれで「起こった数 ÷ 起こらなかった数」を求め、さらにその二つを割り算した値。1なら差がなく、1より小さければ少ない側。
研究の要約で「オッズ比0.39」と書かれ、記事では「およそ6割低い」と紹介される。この言い換えは1から0.39を引いた0.61を百分率にしたものです。読みやすいぶん、もとの数字が持っていた性質が落ちます。
「◯%低い」はリスク比の言い方
ふつう読者が受け取るのは「100人いたら発症が6割少ない」というリスク比(相対リスク)の像です。ところがオッズ比は、発症した人数と発症しなかった人数の比を扱う値なので、発症が珍しくない集団ではリスク比より大きく振れます(1から遠い側に出る)。発症がまれなときは両者が近づくため、その条件下でのみ「◯%低い」という翻訳がほぼ成り立ちます。症例対照研究などでリスク比を直接計算できない設計では、オッズ比を使うのが正しい選択でもあります。
推定の幅を見る
オッズ比は割り算の割り算なので、四つのマスのどれかが小さいときに大きく揺れます。まれな遺伝子変異の保有者を扱う研究では、保有者のうち発症した人の数が二桁ということも起こります。点推定値(0.39など)だけでなく、信頼区間の幅とP値を必ず一緒に見る。同じ論文の中でも、血液検査の連続値のように全員ぶん測れる指標のほうが、発症人数を数える指標より推定はぶれにくくなります。
読み手の対策:オッズ比を見たら、①その病気は珍しいか(珍しくなければ「◯%低い」は過大な言い換え)②信頼区間が1をまたいでいないか③分母になった人数はいくつか、の三点を確認する。