用語辞典 — ツギノテ。SCIENCEGLOSSARY

動原体

動原体(キネトコア/kinetochore)とは、セントロメアの上に組み上がり、細胞分裂のときに紡錘体から伸びてきた微小管をつかむタンパク質の複合体のこと。染色体が引かれるときの、綱の結び目にあたる。

セントロメアとの違い

混同されやすいところですが、二つは層が違います。セントロメアはDNAの側の領域で、動原体はその上に組み立てられるタンパク質の構造です。土台と、そこへ後から建てる装置、という関係になります。分裂が終われば装置の多くはばらされ、次の分裂のときにまた組み直されます。

どこに建つかを決めているもの

建てる場所を指定しているのは、CENP-Aという特殊なヒストンを含むクロマチンだと考えられています。塩基配列そのものではなくクロマチンの状態で位置が決まるため、同じ配列でも世代や個体で位置がずれうる、という含みがあります。実際のゲノム解析では、DNAメチル化が落ち込む区間(CDR)とCENP-Aの集まる区間を目印にして「動原体があると推定される場所」を割り出します。直接見ているのは目印であって装置そのものではないため、論文では「推定される(putative)」という語がよく添えられます。

失敗を止めるための仕組み

動原体は、微小管をつかむだけの部品ではありません。すべての染色体が両極から正しく引かれているかを監視し、一本でも未結合が残っているあいだは分裂の進行を止める仕組み(紡錘体形成チェックポイント)が備わっています。この監視が働かないと染色体の数が狂った細胞ができ、がんや発生異常との関連が調べられています。

補足:動原体の候補部位が一つの染色体に二か所以上ある例も報告されているが、それが分配の成否にどう影響するかは分かっていない。