前縁の櫛。
前縁の櫛(leading-edge comb)とは、フクロウのいちばん外側の初列風切羽で、前の縁に細かい歯が並んだ構造。飛行音を抑えるとされる翼の3つの構造のひとつで、残る2つは羽弁のフリンジと背面のベルベット。
夜行性の種ほど発達している
2017年にInterface Focusに出た総説では、櫛は夜行性のフクロウのほうが昼行性の種より発達していると報告されています。夜に音で狩る種ほど強く出るという対応は、この構造が狩りと結びついていることの間接的な証拠として扱われます。歯の高さは種によって幅があり、系統ごとの比較では1ミリを超えるかどうかがひとつの区切りとして使われています。
3つのうち、いちばん確かめられている
3つの構造のうち、生きた個体で操作された実験が残っているのは主にこの櫛です。1971年と1973年の報告があり、2017年には乾燥標本の翼から櫛を取り除く風洞実験も行われました。メンフクロウ(Tyto alba)の標本翼を使ったその実験では、櫛があると揚力がわずかに増え、迎え角が大きいときに滑空の騒音が下がるという結果が得られています。
残っている限界
風洞での測定は、翼を固定した滑空に近い条件です。フクロウが襲いかかるときに滑空しているのは例外的で、多くは羽ばたいているという指摘があり、羽ばたきのときに櫛のまわりで何が起きているかは未解明とされています。また、櫛に似た構造はフクロウ以外の鳥にも見つかっており、たとえばアメリカのミナミショウドウツバメ属(Stelgidopteryx)の2種が挙げられています。
補足:この構造は英語では comb(櫛)のほか serrations(鋸歯)とも呼ばれ、工学の応用研究では後者が使われることが多い。関連語として自己マスキング。