セントロメア。
セントロメア(centromere)とは、細胞分裂のときに染色体を娘細胞へ正しく分配するための足場となる、染色体上の領域のこと。染色体の図でくびれて描かれる部分にあたる。
何をしている場所か
細胞が分裂するとき、複製された染色体は細胞の両端へ引き分けられます。このときセントロメアの上に動原体というタンパク質の複合体が組み上がり、両極から伸びてきた微小管をつかみます。引く力がかかる一点なので、ここが機能しないと染色体の数が狂います。位置によって染色体は中部着糸型・次中部着糸型・端部着糸型などに分類されます。
なぜ配列を読むのが難しかったか
ヒトのセントロメアは、約171塩基のαサテライトという単位が何十万回もくり返してできています。しかも単位どうしがまとまって「高次反復(HOR)」という上位のくり返しを作る入れ子構造です。似た配列ばかりが続くため、短く切って読んで貼り合わせる従来の手法では断片の並び順が決まらず、ヒトゲノム計画以降も長く空白のまま残っていました。一度に長く読めるシーケンス技術が実用化されて、ようやく端から端まで組み上げられるようになっています。
配列で決まるのか、しるしで決まるのか
セントロメアの位置は、特定の塩基配列そのものではなく、CENP-Aという特殊なヒストンを含むクロマチンがどこに置かれるかで決まると考えられています。エピジェネティックに指定される、という言い方をします。実際、本来のセントロメア以外の場所に新たな機能中心(ネオセントロメア)が生じる例が報告されています。配列と、その上に乗るしるしの両方を見ないと位置は説明できません。
補足:セントロメアは染色体の末端にあるテロメアとは別の領域。テロメアが端の保護にあたるのに対し、セントロメアは分配のための足場にあたる。