用語辞典 — ツギノテ。SCIENCEGLOSSARY

系統解析

系統解析(phylogenetic analysis)とは、生物の形態(骨の形や配置など)や遺伝情報の特徴を種・個体のあいだで比べ、共通の祖先からどのような順番で枝分かれしてきたかを推定する手法。

比べる特徴(骨のある部分の形・大きさ・有無や、DNAの配列の違いなど)を数多く集め、似ている特徴を多く共有する系統ほど近い枝にまとまるよう計算で探る。出てくる「系統樹」は、実際に見てきた祖先の記録ではなく、いま手元にある特徴の集まりからもっともらしいと計算された仮説にあたる。化石種のように遺伝情報が残っていない生物では、骨格などの形態的な特徴が解析の主な材料になる。

近縁と分かる、とはどういうことか

系統解析で「AとBが近縁」と出た場合、それはAとBが他の候補よりも多くの特徴を共有していた、という計算結果を意味する。地理的にどちらで生まれたか、いつ枝分かれしたか、実際にどの経路をたどって広がったかは、系統解析そのものが直接示す情報ではない。分布の広がりや移動の経路を論じるときは、系統解析の結果に加えて、地層の年代や産出地の記録など別の証拠を組み合わせる必要がある。

仮説であって確定ではない

系統樹は、比較に使う特徴の選び方や、解析に加える種の組み合わせを変えると形が変わることがある。特に化石1点のように使える特徴が限られる場合、位置づけは新しい標本の発見によって見直されやすい。査読を経て発表された系統解析であっても、「今回集めた特徴のもとでは、もっともらしい」という留保が常に付く。

補足:系統解析の結果と、実際の移動の歴史(分散)を推定する解析は別の手法。後者は前者の系統関係を土台にしたうえで、さらに地理情報を組み合わせて祖先の生息地域を統計的に推定するもので、経路や時期を直接観測した記録ではない。