用語辞典 — ツギノテ。SCIENCEGLOSSARY

量子誤り訂正

量子誤り訂正(quantum error correction)とは、多数の物理量子ビットに情報を分散して符号化し、量子情報そのものを壊さずにエラーを検出・訂正する仕組み。

量子ビットは非常に壊れやすく、わずかな熱や電磁的なゆらぎでも状態が乱れてしまいます。しかも量子情報は「直接のぞき見る」と壊れてしまう性質があるため、古典的なコンピュータのように値をそのまま読んで確かめる、という手が使えません。そこで、一つの意味のある情報(論理量子ビット)を多数の物理量子ビットに広げて持たせ、まわりの補助的な量子ビットだけを測ることで「どこかでエラーが起きたか」を間接的に読み取ります。

仕組み

補助量子ビットの測定からは、エラーの有無を示す信号(エラー検出イベント)が繰り返し得られます。この信号を「復号器」と呼ばれるソフトウェアが解析し、もっともありそうなエラーを推定して訂正します。情報本体には触れずに、周辺の手がかりから間違いを直す——ここが古典的な誤り訂正との大きな違いです。表面符号やカラー符号は、この考え方を実装する代表的な方式で、より多くの物理量子ビットを使う(符号距離を大きくする)ほど強い保護が得られます。

限界

誤り訂正はエラーをゼロにする魔法ではありません。物理量子ビットのエラーがある水準より低くなって初めて効果的に働き、たくさんの量子ビットを「保護のために」費やします。また、装置が時間とともにずれると訂正性能も落ちるため、較正を保ち続けることが実用化の課題になっています。数を増やすだけでなく、増えた装置をいかに整え続けるかが問われる段階に入っています。

補足:一つの論理量子ビットを守るために多数の物理量子ビットが要る。実用的な計算には、質の高い量子ビットと安定した制御の両方が欠かせない。