視線速度。
視線速度(radial velocity)とは、星が観測者に対して近づく・遠ざかる方向の速さのこと。目に見えない伴星や惑星が周回していると、その重力で星が手前と奥へ小さく“ふらつき”、光のわずかな波長変化として測れます。
星が近づくときは光の波長がわずかに短く(青く)、遠ざかるときは長く(赤く)ずれます。このずれを分光で読み取ると、星の視線方向の動きが分かります。動きが周期的に行き来していれば、その裏に何かが回っている——と疑える合図になります。
見えない天体を「揺れ」で探す
伴星や惑星は暗くて直接は見えないことが多いのですが、主星の“ふらつき”は測れます。この方法は系外惑星の発見でも広く使われてきました。連星の場合も、主星の視線速度の揺れから、隠れた伴星(たとえば白色矮星)の存在に気づく出発点になります。
読むときの注意
視線速度は「近づく・遠ざかる」方向の成分だけを捉えるため、それだけでは伴星の質量や軌道を完全には決められません。軌道の傾きなど別の情報と組み合わせて初めて、より確からしい姿が見えてきます。揺れの検出は“存在の疑い”であって、正体の確認には追加の観測が要る、という順序を押さえておくと安心です。