用語辞典 — ツギノテ。SCIENCEGLOSSARY

トポロジカル絶縁体

トポロジカル絶縁体(topological insulator)とは、物質の内部は電気を通さない絶縁体なのに、その表面や縁(へり)の部分だけは電気をよく通す、という不思議なふるまいをする物質のことです。しかもその通り道は、多少の乱れや汚れがあっても壊れにくいのが特徴です。

「トポロジー」は、大まかには「連続的にゆがめても変わらない性質」を指す数学の言葉です。ドーナツとマグカップが「穴が一つ」という一点で同じ仲間、というたとえがよく使われます。物質の中の電子の状態にも、これに似た「型」があります。内部が絶縁体でも、外側との境目ではその型のつじつまを合わせるために、電気を通す状態が必ず現れる——これがトポロジカル絶縁体の縁の通り道の正体です。型に由来するので、少々の傷では消えません。

結晶の対称性が守る場合

通り道の頑丈さを支えるものにはいくつか種類があり、そのうち「結晶の対称性」が守っているものは、特にトポロジカル結晶絶縁体(TCI)と呼ばれます。近年は、こうした状態を原子数層ぶんの薄さの2次元物質で実現しようとする研究が活発です。

読むときの注意

トポロジカル絶縁体は、低消費電力の電子回路やスピントロニクス、量子技術の土台として期待されています。ただし多くはまだ基礎研究の段階で、実験室で作れたことと、実用のデバイスになることのあいだには距離があります。「常温でも安定」といった記述が、実測なのか理論的な見込みなのかを分けて読むと、話の輪郭がはっきりします。